チャットボットと対話型AIの違いとは?
AI技術は急速に進歩しており、さまざまな質問を理解して答えることができる対話型のバーチャルエージェント、対話型AIを作ることができるようになっています。対話型AIは、チャットボットの進化形です。
しかし、企業経営者は両者がどのように違うのか、自社の組織モデルにはどれが適しているのか、と疑問に思っています。そんな疑問に答えるべく、チャットボットvs.対話型AIの違いを分解してみます。
対話型AIとは?
対話型AIとはユーザーが話しかけたり入力したりして、それに対する応答を受け取ることができるテクノロジーセットのことです。
従来のチャットボットやスマートホームアシスタント、ある種のカスタマーサービスソフトウェアなどは、すべて対話型AIの一種です。
しかし、ここでは時間をかけて学習することでインタラクションを改善し、人間のオペレータなどに転送するタイミングを決定する高度なコミュニケーションソフトウェアを指す言葉として使用しています。
会話型AIのポイントは、自然言語理解(NLU)を中核機能として採用していることです。
自然言語理解(NLU)とは?
NLUとはソフトウェアがユーザーのインタラクションの意図や文脈を理解するのを助けるスクリプトプロセスのことで、あらかじめ設定されたキーワードのリストだけに頼って自動応答するのではありません。
次のような問い合わせを考えてみましょう。
「注文をキャンセルしたので、返金してほしいのですが。」
「あなたは私の注文をキャンセルしました。いつ返金してもらえますか?」
これらの文章は一見似ていますがそれぞれ異なる状況を指しており、異なる対応が必要です。通常のチャットボットは、「キャンセル」「注文」「返金」というキーワードだけを考え、実際の文脈を無視してしまいます。
最初のシナリオで顧客は自分の行動を説明し、自分が何を望んでいるかを言っています。
対話型AIで適切に応答するためには、以下のように検証のステップが必要なことがあります。
「お客様はMM/DD/YYYYに##の注文をキャンセルされたようですが、こちらの注文の返金を希望されますか?」
「確認したところ、返金処理はすでに行われており、5~7営業日以内に届く予定です。」
「返金をご希望の場合は、こちらのURLにアクセスしてください」
対話型AIを訓練することで注文プロセスのさまざまな段階において顧客に異なる応答をすることができます。対話型AIは「一部の部品だけが返金対象となる」というような複雑な注文にも対応できます。
上記の2つ目のシナリオでは顧客はあなたの会社がとった行動について話し、何が起こるか期待していることを述べています。AIは企業側でキャンセルされ、まだ返金されていない注文を確認し、そのシナリオに関する情報を提供することができます。
チャットボットとは?
チャットボットは現代の対話型AIの前身であり、一般的には厳密にスクリプト化されたキーワードベースの会話に従います。つまり、顧客の発言の内容や意図を理解することはできません。
とはいえ、チャットボットが企業にとって有用なツールとなる場合もあります。
よくある質問をチャットボットに転用するFAQボットのような顧客が特定の質問を行うと、それに応じてあらかじめ書かれた回答や情報収集のリクエストを提供してくれるような場合にはチャットボットが適しています。
ユーザーインターフェースに相当するテキスト以上の複雑さを必要としない場合、チャットボットはシンプルで手頃な選択肢となります。
しかし、複雑な顧客の苦情に対応する必要があるカスタマーサービスチームを持つ企業にとって、対話型AIは単に優れているだけではありません。常に改良を重ることで、ふたつのシステムの間のギャップを広げていきます。
チャットボットと対話型AIの比較:主な特徴
対話型AIとチャットボットは、それぞれ異なる機能を重視しています。ここでは知っておくべき主なものを紹介します。
対話型AIの機能
対話型AIの主な機能は以下の通りです。
学習システム:
教師ありおよび半教師あり学習ソリューションでは、カスタマーサービス担当者がNLUの結果を確認し、フィードバックを提供することができます。これにより、AIが企業独自の語彙を理解して対応するようになります。
ユーザーフレンドリーなインターフェース:
Cognigyは最新のグラフィカルなインターフェースを使用しているため、コーディングの知識がなくてもシステムを理解したり、アップデートしたりすることができます。
エクステンション:
エクステンションとはプラグアンドプレイの会話モジュールのことで、AIを自分で構築することなく、日常のニーズに即座に対応することができます。
対話型AIプラットフォームとロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)を組み合わせることで、より迅速なカスタマーサービスを実現するために期待できることを以下のビデオでご確認ください。
自動回帰テスト:
広範囲にわたる自動回帰テストにより、AIを変更した後もビジネス目標を達成していることを確認できます。
多言語互換性:
対話型AIシステムは全体のロジックはそのままで、異なる言語で同時に動作することができます。(Cognigyは現時点で20言語に対応しています。)
これらは対話型AIが企業に提供できる数多くの機能の一部に過ぎません。当然のことながら企業によってAIに求めるものは異なりますが、そこには柔軟性があります。
例えば、異なる言語で顧客とチャットする必要がなければ、多言語機能を無効にすることもできます。
チャットボットの機能
多くのチャットボットの主な機能は以下のとおりです。
キーワードに応じた返答:
ほとんどのチャットボットは文章の内容や意図を理解しません。代わりにお客様が入力した特定の言葉を探し、その言葉に応じた自動応答を行います。
導入までの期間が短い:
チャットボットは比較的簡単にシステムに導入することができるので、すぐに導入したい場合に便利です。対話型AIは基本的にはチャットボットよりも強力で有能ですが、機械学習を使ってAIの応答を形成するには時間がかかります。
カスタマーインテント
ほとんどのチャットボットは100~200のカスタマーインテントをうまく扱うことができます。ここでいうカスタマーインテントとは、お客様がチャットボットに伝えようとしていることで、通常は特定のキーワードの組み合わせを含みます。
チャットボットと対話型AIの比較:ビジネス上の価値とは?
対話型AIはデータのパーソナライズからAIのトレーニングに時間を投資できるユーザーへの広範なカスタマイズまで、さまざまなビジネスに数多くの種類の価値を提供します。
対話型AIが提供する価値として、特に際立った3つのポイントを紹介します。
対話型AI:より良い顧客体験
対話型AIは顧客に対して迅速かつ適切な応答を行い、顧客が最小限の行動で欲しいものを手に入れられるようにします。これにより、従来のチャットボットよりも格段に優れた体験を提供することができます。
対話型AI:待ち時間の短縮
対話型AIはお客様からの膨大な負荷を処理できるため、大量のやり取りや標準的なプロセスを自動化することができます。これは保留時間の短縮、問題の迅速な解決、さらにはカスタマーサービスの担当者に接続された場合に、情報を賢く収集して表示することができることを意味します。
対話型AI:より良いオペレーターのサポート
最後に、対話型AIは企業全体で優れたカスタマーサービスを可能にします。
つまり、1時間あたりの解決件数が増え、情報の流れがより一貫したものになり、さらには同じようなルーチンワークに集中する時間が減るため、従業員のストレスも軽減されます。
作業負荷が軽減されることで人間のオペレーターはお客様と接する時間が増え、よりパーソナライズされた対応ができるようになり、より良いカスタマーエクスペリエンスを提供できるようになります。
チャットボット:導入のしやすさ
チャットボットは対話型AIに比べて基本的に導入が容易であり、システムのインストールやカスタマイズに集中できる時間があれば1人のユーザーでもガイドに従って導入できる場合が多いです。
チャットボットは、基本的にシンプルな問い合わせの応答システムです。人々が何を尋ねるかを知っていたり、どのように回答するかを伝えることができれば、迅速で基本的な回答を提供することが簡単にできます。
多くの企業はチャットボットを顧客サービスに利用していますが、ビジネスの他の部分にも利用することができます。
例えば、特定の個人やチームに備品を依頼するためにチャットボットを使用したり、特定の関連情報を呼び出すためのショートカットシステムとして導入したりすることができます。
あなたの会社にはどちらが適していますか?
チャットボットと対話型AIの比較では、ほとんどの場合において対話型AIの方が良い選択といえるでしょう。
システムのセットアップや学習には時間がかかりますが、それさえも日常的なタスクや問い合わせに対応できる拡張機能によって軽減されています。いったん対話型AIが設定されると、ほとんどの仕事をこなすのに基本的に優れています。
とはいえ、チャットボットや対話型AIで成功するための真の秘訣は、それらを賢く展開することです。Cognigyを使えばエンドツーエンドの対話型AIプラットフォームのパワーを活用して、チャットや音声チャネル用の高度なバーチャルエージェントを構築し、数日で展開することができます。
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