バーチャルアシスタントとは? メリットや導入する際のポイントを解説
バーチャルアシスタントは、さまざまな質問や依頼に対して応答をしてくれるコンピュータープログラムです。
日常生活のサポートになるのはもちろんのこと、業務で使用すればさまざまなメリットを得られます。
本記事ではバーチャルアシスタントの概要や導入するメリット、導入する際のポイントなどについて解説します。
バーチャルアシスタントとは、高度なコンピュータープログラム
バーチャルアシスタントとは、高度なコンピュータープログラムのことです。
バーチャルアシスタントにはAIが搭載されているのが一般的で、AIアシスタントとも呼ばれています。
バーチャルアシスタントは高度なコンピュータープログラムによって、ユーザーが抱えるさまざまなタスクをサポートしてくれます。
ボタンやメニューがなくても、話しかけるだけで音声を聞き取り、ユーザーが何を求めているのか理解し、依頼されたタスクの対応が可能です。
日常生活でも多く使われており、Google Assistant、Siri、Alexaなどはバーチャルアシスタントの代表的なサービスといえるでしょう。
企業向けに作られたバーチャルアシスタントであれば、データ管理や分析、資料作成などの対応を依頼できます。
オンラインアシスタントは人が対応するサービス
バーチャルアシスタントに対してオンラインアシスタントというサービスもあります。
バーチャルアシスタントが高度なコンピュータープログラムを指す一方、オンラインアシスタントは人が対応するサービスです。
例えば、経理やコールセンター、人事などの専門的な業務をオンラインアシスタントに依頼することが可能です。
バーチャルアシスタントとチャットボットとの違い
バーチャルアシスタントと似たシステムとして挙げられやすいのが、チャットボットです。
バーチャルアシスタントとチャットボットにはさまざまな違いがあります。
チャットボットもバーチャルアシスタントと同じくAIが搭載されているケースが多いですが、チャットボットの場合はカスタマーサポートやヘルプデスク業務をサポートするために導入されるのが一般的です。
一方でバーチャルアシスタントの場合は、企業で使われる他にスマートフォンやスマートスピーカーなどに搭載され個人向けに活用される傾向にあります。
またタスクの依頼方法も異なり、チャットボットはテキストベースでユーザーとの会話を進めますが、バーチャルアシスタントは音声によってもコミュニケーションを取ることが可能です。
バーチャルアシスタントに用いられている主な技術
バーチャルアシスタントが高度な機能を実現できるのは、主に以下に挙げるような技術が用いられているためです。
- 自然言語処理(NLP)
- 機械学習(ML)
詳細についてご紹介していきます。
1. 自然言語処理(NLP)
自然言語処理(NLP)とは、音声やテキストをコンピュータに学習させて、人間とのコミュニケーションを可能にする処理です。
言葉には砕けた表現や誤字脱字、同音異義語などがあります。
NLPによってコンピュータは複雑な言葉の構造を把握して、ユーザーが何を求めているのか、何を伝えようとしているのかを判断します。
2. 機械学習(ML)
機械学習(ML)とは、コンピュータに膨大なデータを教えて学習させる方法です。
コンピュータは機械学習によって膨大なデータからパターンを学習します。
このパターンを応用することによって、人間が依頼・質問する内容に対して適切な回答ができるようになります。
バーチャルアシスタントを活用する2つのビジネスシーン
バーチャルアシスタントは日常生活のサポートをするだけでなく、ビジネスシーンでも活用できます。
バーチャルアシスタントを活用するビジネスシーンとして挙げられるのが、主に以下の2つです。
- データの管理と分析
- 顧客とのコミュニケーション
データの管理と分析
企業にはさまざまなデータが保管されています。
このようなデータは顧客の行動や市場分析などに欠かせません。
貴重なデータであるため、従来は一部の従業員が管理しているのが一般的でした。
バーチャルアシスタントであれば、貴重なデータを適切に管理するだけでなく、分析も可能です。
バーチャルアシスタントはAIを搭載しているため、膨大なデータも瞬時に分析できます。
複雑なデータであってもスピーディに分析でき、分析を基に企業は迅速な意思決定が下せるようになります。
顧客とのコミュニケーション
顧客とのコミュニケーションにおいても、バーチャルアシスタントは活用可能です。
顧客とのコミュニケーションは、相手から投げかけられる質問や問い合わせに対して臨機応変に対応する必要があります。
自然言語処理や機械学習の機能を備えたバーチャルアシスタントであれば、顧客に応じたスムーズな対応が可能です。
バーチャルアシスタントを導入する4つのメリット
バーチャルアシスタントを導入する主なメリットは、以下の通りです。
- コストを削減できる
- 人的なミスを削減できる
- 人手不足を解消できる
- 時間に関係なく稼働できる
1. コストを削減できる
バーチャルアシスタントに業務を代行してもらうことで、コスト削減が期待できます。
従業員でなくとも対応できる業務をバーチャルアシスタントに任せることで、それまでかかっていたコストを削減可能です。
またバーチャルアシスタントであれば俊瞬時に方法を理解できるので、従業員の育成にかかっていた時間も削減できます。
2. 人的なミスを減らせる
バーチャルアシスタントを活用することで、人的なミスを減らせます。
社外の人間が対応するオンラインアシスタントでは専門家が対応するとはいえ、人間が介在するためどうしてもミスが発生する可能性があります。
その場合、社内の従業員が修正や差し戻しをできればミスを防げるかもしれません。
しかしミスに気付かなかった場合、そのまま進行してしまい重大なトラブルにつながってしまう恐れもあるでしょう。
一方でバーチャルアシスタントであれば、手入力による人的なミスの発生を防げます。
3. 人手不足を解消できる
人手不足を解消するためにも、AIによるバーチャルアシスタントは効果的です。
従来は従業員が担当していた業務をバーチャルアシスタントに依頼できるようになるため、人手不足の解消につながります。
企業にとって従業員の確保は重大な課題です。
内閣府の発表によれば生産年齢人口(15~64歳)は2050年には5,275万人と、ピークだった1995年の8,716万人を大きく下回ることが予想されています(※)。
このような時代において、AIをバーチャルアシスタントとして活用することは企業の人手不足解消の大きな一手になるでしょう。
※参考:内閣府. 「令和4年版高齢社会白書」. “図1-1-2 高齢化の推移と将来推計”. https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2022/zenbun/pdf/1s1s_01.pdf, (参照2023-11-28).
4. 時間に関係なく稼働できる
AIであれば時間に関係なく稼働できる点もメリットです。
人間が対応する場合、どうしても業務時間内での対応となってしまい業務時間以外にはタスク処理を行えません。
しかしバーチャルアシスタントであれば、夜中や早朝、休日などであっても顧客の問い合わせに対応できます。
24時間365日対応できることで、失注の可能性を減らせる他に顧客満足度の向上に期待ができます。
顧客満足度は売上の増加やリピーター獲得につながる重要な要素です。
バーチャルアシスタントを活用することで顧客が問い合わせしやすい環境を整えられるといえるでしょう。
バーチャルアシスタントが抱える3つの課題
バーチャルアシスタントを導入することで、業務の効率化や人手不足の解消が期待できます。
しかしバーチャルアシスタントは、以下のような課題を抱えています。
バーチャルアシスタントを導入する前に、デメリットについても把握しておきましょう。
- 周囲の環境によっては機能しない
- スムーズな会話が実現しない可能性がある
- 情報漏洩のリスクがある
1. 周囲の環境によっては機能しない
課題の1つ目は、周囲の環境によってはバーチャルアシスタントがうまく機能しないケースがあることです。
バーチャルアシスタントは音声でのやり取りも可能ですが、外出先や騒がしいオフィス内など、環境によっては雑音が入り込んでしまうため、正しく機能しない恐れがある点を認識しておきましょう。
2. スムーズな会話が実現しない可能性がある
課題の2つ目は、スムーズな会話が実現しない可能性があることです。
バーチャルアシスタントは企業の業務効率化に大きく貢献します。
しかし、必ずしもスムーズなやり取りができるわけではありません。
人間はテキストや会話だけでコミュニケーションを進めていません。
バーチャルアシスタントには、表情や声のトーン、ジェスチャーなどテキストや会話ではない非言語(ノンバーバル)のコミュニケーションは通じないので、音声やテキストで詳細に依頼内容を伝える必要があります。
3. 情報漏洩のリスクがある
課題の3つ目は、情報漏洩のリスクがあることです。
バーチャルアシスタントは音声でも気軽に使用できます。
そのため外で企業の情報をバーチャルアシスタントに伝えてしまうと、どのような指示をバーチャルアシスタントに依頼したのかが周囲に漏れてしまいます。
中には企業の機密情報をバーチャルアシスタントに伝えているケースもあるため、使用する際は注意が必要です。
バーチャルアシスタントを導入する際のポイント
バーチャルアシスタントを導入する際は、以下に挙げるようなポイントを押さえておきましょう。
- 導入の目的を明確にしておく
- 見積もりを複数社に依頼する
- 導入前の期間を把握しておく
- 接続できるチャネルを確認しておく
1. 導入の目的を明確にしておく
バーチャルアシスタントを導入する際は、なぜ導入するのか目的を明確にしておきましょう。
バーチャルアシスタントであっても対応できる業務もあれば、対応できない業務もあります。
バーチャルアシスタントを導入してから「業務上の課題が解決できなかった」ということが起こらないように、目的に適した機能を持つバーチャルアシスタントを導入しなければなりません。
例えば社内の担当者の工数削減が目的であれば、社内から寄せられる質問や問い合わせに自動応答できるようなバーチャルアシスタントを導入する必要があります。
2. 見積もりを複数社に依頼する
バーチャルアシスタントを導入する際は、複数社に見積もりを依頼しましょう。
複数社に見積もりを依頼して、料金や対応可能な範囲を比較します。
バーチャルアシスタントを導入するにあたって、1社だけに見積もりを依頼してそのまま導入してしまうと、費用やサービス内容が適切かどうか判断できません。
複数社に見積もりを依頼して自社に適したサービスを比較検討しましょう。
3. 導入から運用までの期間を把握しておく
導入から運用までの期間を把握しておくことも、バーチャルアシスタント導入にあたっては大切なポイントです。
バーチャルアシスタントを自社もしくは他社で1から開発する場合は、導入までに時間がかかってしまいます。
またバーチャルアシスタントは導入したらすぐに効果が期待できるわけではありません。
導入後に適切に応答できているかを確認して、メンテナンスをする必要があります。
メンテナンスを怠ってしまうと、バーチャルアシスタントを導入しても満足いく結果が得られないかもしれません。
導入後のメンテナンスの工数を考慮すると、小さな範囲からスタートさせて、徐々にバーチャルアシスタントを活用する場面を増やしていくのがおすすめです。
4. 接続できるチャネルを確認しておく
バーチャルアシスタントを導入する際は接続可能なチャネルを確認しておきましょう。
バーチャルアシスタントを活用するユーザーや顧客が利用しているチャネルでチャットや音声による問い合わせができれば、手軽にやり取りを行えるのでユーザー満足度の向上につながるでしょう。
バーチャルアシスタントを上手に活用して業務負担を軽減しよう
バーチャルアシスタントとは、AIを搭載した高度なコンピュータープログラムのことを指します。
企業でバーチャルアシスタントを活用すれば、自動化できる業務が格段に増えるので、コスト削減や人員不足の解消が可能です。
また人間が対応する場合はどうしてもミスなどが発生し得る業務も、バーチャルアシスタントであればミスなくタスクを処理していけるでしょう。
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