AIチャットボットとは?活用目的に合った種類や運用方法・企業の導入事例を紹介
近年、AIチャットボットを活用する企業が増えてきました。業務効率化や省人化、顧客満足度の向上など、さまざまな課題解決のためにAIチャットボットの導入を検討している企業も多いのではないでしょうか。
本記事では、AIチャットボットとは何か、仕組みや特徴、種類、活用シーンやメリットなどの基礎知識を解説します。あわせて、運用上の課題やAIチャットボットの選び方、企業の導入事例など実践的な知識も紹介するので、AIチャットボットについて理解を深め、抱える悩みや課題の解決方法をみつけるためにお役立てください。
AIチャットボットとは
チャットボットはリアルタイムで短文の対話(チャット)を実現する、ソフトウェア(ボット、ロボット)です。例えば、Webサイトに設置されたチャットボットに対して、閲覧者がテキストを入力すれば、即座に自動で回答を返してくれます。AIチャットボットとは、回答の判断にAI(人工知能)を用いるチャットボットです。
AIチャットボットは急激に普及していますが、背景には次の3つの要因があります。
第1は、AIチャットボットが急速に実用レベルになったためです。AI自ら学習する深層学習(ディープラーニング)や自然言語理解(NLU:Natural Language Understanding)、ビッグデータ活用などが相まって、技術的ブレイクスルーが起きました。
第2は、業態やビジネスモデルを変革して差別化や競争力アップを図るDXに、AIチャットボットが用いられているためです。例えばサービス業ではAIチャットボットによる自動接客が導入されるなど、応用範囲が広がっています。
第3は、労働力不足の解消にAIチャットボットが活用されているためです。日本では少子高齢化による人手不足や、働き方改革に掲げられた長時間労働是正の課題を解決するために、AIチャットボットを用いるケースが増えています。
AIチャットボットの仕組みと特徴
AI(人工知能)とは、人間の知能や知性を模したコンピュータープログラムです。AIチャットボットでは、質問に対する適切な回答パターンを学習させたり、深層学習(ディープラーニング)によってAI自らが学習したりすることによって、人に近い応答を実現できます。
AIチャットボットの特徴は、自由形式で入力されたテキストや音声に対応できる点です。もちろん限界はありますが、話し言葉や文法的に間違いがある表現にも対応できます。表記揺らぎや誤字、脱字などが含まれていても意図をくみ取って適切な回答が可能です。
また、学習が進むほど最適な回答を表示できる確率が高まるのもAIチャットボットの特徴です。AI非搭載のチャットボットでは、人間が設計した以上に性能は上がりません。しかし、AIチャットボットの場合、サンプル数が増えるほど精度が上がる可能性があります。
シナリオ型チャットボットとの違い
チャットボットには、AIチャットボット以外にシナリオ型チャットボットがあります。シナリオ型チャットボットとは、事前に人間が設定したルールに基づいて会話を行うチャットボットです。ルールベース型チャットボット、または人口無能型チャットボットと呼ばれる場合もあります。
シナリオはFAQをフローチャート式で記述したテキストや、エクセルデータのようにQとAの対応がわかるファイルで作成されます。これらの構造化されたデータをチャットボットシステムにインポートすれば、定型的な質問に答えられるようになります。
例えば、「商品と返品が含まれている質問には、返品方法を説明した回答を表示する」というルールを登録したとしましょう。この場合「商品を返品したい」という問い合わせに対し、事前に登録した回答を返せます。
シナリオ型チャットボットがAIチャットボットと違うのは、回答精度と柔軟性の劣る点です。言い換えれば、シナリオ型チャットボットは自然言語理解(NLU)ができません。上記の例では「○○(商品名)を返品したい」「どこに返品すればいいの?」などの質問には、適切に回答できない場合があります。
AIチャットボット活用目的の例
AIチャットボットは主に、業務効率化、ビジネスチャンスの拡大、ユーザー・カスタマーの満足度向上のいずれかを目的に導入されています。ここでは導入側の企業の視点で、どのようにして目的を達成できるのかについて具体例を交えながら解説します。
ユーザーや社内問い合わせの対応による業務効率化を図りたい
顧客対応を効率化したいとき、AIチャットボットは便利です。例えば、ECショップを経営している場合は、不特定多数の顧客からのメールや問い合わせフォームからの質問に人が対応しなければなりません。BtoBなら直接電話がかかってくるケースが多いでしょう。これらの問い合わせ対応をAIチャットボットに置き換えれば、業務負荷を減らせます。
また、社内問い合わせ業務を効率化したいときもAIチャットボットを活用できます。経理・人事・総務などのバックオフィスへの問い合わせは、ほとんどが定型的な質問です。「事務用品の購入申込書はどこにあるのか?」などの簡単な問い合わせ対応をAIチャットボットに任せられれば、従業員は本来の業務に集中できるようになるでしょう。
機会損失を防ぎたい
問い合わせ窓口が電話の場合、営業時間外に受け付けができず、ビジネスチャンスを逃す場合があります。またメールやメッセージアプリは常時受け付けられますが、回答までタイムラグがあるため、その間に見込み客が離脱してしまうかもしれません。こうした機会損失は、ユーザーが常時、リアルタイムで回答を受け取れるAIチャットボットを導入すれば減らせます。
近年は、人が応対することにわずらわしさを感じる人が若年層を中心に増えてきました。AIチャットボットであれば、ささいな内容も気を遣うことなく質問できるため、接触機会を増やす効果を期待できます。
ユーザー・カスタマーの満足度の向上・改善
AIチャットボットは、ユーザー・カスタマーの満足度を向上させる目的にも使えます。例えば、電話やメール対応しかできない場合、いつ回答があるかわからないため、ユーザーを待たせてしまうことが考えられます。しかし、AIチャットボットで即座に回答できれば、ユーザーに対する満足度を高められるでしょう。
FAQページやシナリオ型チャットボットを使っている企業もAIチャットボットの導入がおすすめです。AIチャットボットを導入することで適切な回答を得るまでの時間を短くでき、満足度を上げられるためです。他のツールと連携できるAIチャットボットなら、そのまま購入決済に進んだり、業務システムにある顧客データを引き出したりするなど、さらに利便性を高められます。
AIチャットボット導入のメリット
ここではAIチャットボットを導入するメリットについて解説します。人件費の削減やサービス品質の向上など多くのメリットがあるため、業種や業態を問わず参考にしてください。
スムーズな問い合わせ対応が可能
先に説明してきたように、AIチャットボットは人の定型的な業務を代替できます。しかも、複数人の問い合わせに同時対応できることが特徴です。
例えば、社内制度を改定した際には、人事・総務部に同じような質問が何度も届くかもしれません。このようなときもAIチャットボットなら即座に応答できます。同様にカスタマーサポート部門における新商品販売後やキャンペーン中などの繁忙期でも、AIチャットボットが顧客を待たせることなく応対できます。
応対数が増えるほどAI学習が進んで精度が高まり、回答できる質問のバリエーションが広がるのもAIチャットボットの特徴です。実際、社内でスモールスタートした後、代替させる業務を広げていくケースがよくみられます。
問い合わせ対応や教育費用を削減できる
AIチャットボットを導入することで、人件費の削減が見込めます。問い合わせ数が急激に増加した場合でもAIチャットボットであれば複数の問い合わせに対して同時対応できるため、都度人員を補完する必要がありません。場合によっては、人員を大きく削減できるケースもあるでしょう。また、多言語対応のAIチャットを導入すれば、語学スキルを持つ人材を雇用する負担も減らせます。
その他、従業員の教育コストも減らせます。AIチャットボットによくある回答パターンを蓄積できるため、業務が属人化しません。担当者の移動や離職があった際も新たに教育する負担を減らせます。また、経験が乏しい人でもAIチャットボットに質問する形でナレッジを学ぶことが可能です。
24時間365日の対応が可能
AIチャットボットを運営すれば、24時間365日の対応やサポートが可能です。これによって営業時間外も見込み客と接点を持てるようになり、機会損失を減らせるでしょう。また、ユーザー、カスタマーの利便性も期待できます。
例えば一部の賃貸仲介業者は、お部屋探しのサポートサービスを24時間365日、AIチャットボットで提供しています。平日に来店できないビジネスパーソンなどにとって、うれしいサービスといえるでしょう。また、あるネットスーパーでは、AIチャットボットで注文を受け付けることでユーザーの利便性を高めながら営業時間中に対応が必要な注文電話の数を減らすことに成功しています。
マーケティングに活用できる
高度な解析能力を持ったAIチャットボットの導入はマーケティングにも応用できます。例えばECショップなら、会話の内容から顧客ニーズを推測し、おすすめの商品を提案できます。レコメンド機能と異なり、現在の会話データに基づいた回答を選ぶため、よりパーソナルな提案ができるのが特徴です。
また、会話データを分析することで、顧客インサイト(潜在的、本質的な購買欲求)や購買パターンなどを推測することも可能です。顧客管理システム(CRM)と連携できるAIチャットボットなら、どのような属性を持ったユーザーがどのような質問をしたか詳細なデータを残せます。これらのデータを営業に引き渡したり、広告制作に活用したりするなど、貴重な情報資産として活用できるでしょう。
ユーザーの利便性が向上する
AIチャットボット運用で得られる効果は、企業だけでなくユーザーにもあります。AIチャットボットを利用すれば、マニュアルを読み直したり、FAQページから該当する質問を探したりする手間が省けるからです。また、AIチャットボットなら他人に対する遠慮やストレスを感じることなく、人に質問するような話し言葉で質問して回答を得られます。
ユーザーの利便性が向上すれば、社外向けの場合、CV(商品購入や資料請求など)率や顧客満足度などの向上が見込めます。また、社内向けの場合、業務効率化や従業員満足度の向上が期待できるでしょう。
AIチャットボット運用の課題と注意点
AIチャットボットは多くのメリットをもたらしますが、万能ツールと考えてしまうと失敗するリスクが高まります。ここでは、導入の際にしっかり検討しておきたい活用シーンや対応範囲、適切に回答できなかった場合のリスク、導入コストについて解説します。
活用シーンを明確にする
AIチャットボットはサービスによって機能や特徴が異なります。したがって、AIチャットボットによって何を実現したいのかを明確にしていないと上手く活用できない可能性があります。
例えば、「社内ヘルプデスクに導入して、働き方改革で求められている長時間労働の是正を推進したい」などのように活用シーンと目的を明確にしておきましょう。社外で使うなら、「多言語対応で商圏・接点を広げたい」「ドライバーの運転中の電話対応を減らしたい」など活用シーンを具体的に想定しておく必要があります。
対応範囲を精査する
高性能なAIチャットボットでもすべての回答に対して的確な回答はできません。時には人間の対応が必要なこともあるでしょう。したがって、AIチャットボットに代替させる業務と、人が担当するべき業務を仕分けしておくことが重要です。
例えば人事・総務部門にAIチャットボットを導入する場合、経費精算や休暇の手続きなど、手続きやフローがはっきりしている内容はAIチャットボットに代替できます。一方、複雑な問い合わせやプライバシーにかかわる内容などは、人が対応したほうが好ましいでしょう。
対応範囲を精査しておくことで、AIチャットボットから有人応対に切り替えるポイントも明確になります。その場で有人チャットに切り替えられるAIチャットボットを運用することで活用シーンが広がるでしょう。
回答に対応できなかった際のデメリットに備える
AIチャットボットが適切な回答を返せないリスクも想定しておきましょう。AIチャットボットは入力された情報を手掛かりに回答を絞り込んでいくため、人と違って直観的な判断ができません。
したがって、トラブル発生のような緊急時に素早く対応できないケースがあります。急ぎの要件でない場合でも、必要な回答になかなかたどり着けないことで顧客満足度の低下につながる恐れがあります。
また、AIチャットボットの回答が無機質な印象を与えてしまうリスクもあります。人による対応が好ましい場面を想定し、必要に応じて有人対応できる体制が必要です。
導入までに手間や費用がかかることを理解しておく
AIチャットボットはシナリオ型チャットボットに比べると、性能はよいものの価格や利用料金が高いことが一般的です。また、実用レベルで運用できるまでに初期費用と工数がかかる場合もあります。コストの多くを占めるのは、精度の高い回答をするためのサンプルデータの収集やAIを学習させる作業などです。
ただし「QAジェネレーター」によって、大量にQAリスト生成すれば、運用開始までのコストを軽減できるでしょう。「QAジェネレーター」とは、マニュアルや規約のテキストデータを対象に、AIが自動解析してQとAの組み合わせを作成できる機能です。自然言語処理とオントロジー技術(意味を整理して一段上のレベルで規則を作り出す技術)によって、AI学習を大幅に効率化できます。
チャットボットの運用方法
チャットボットの活用で成果を出すには、活用目的に合ったサービスを選ぶことが不可欠です。ここではチャットボットの具体的な選定に移る前に押さえておきたいポイントを解説します。
導入目的を明確にする
AIチャットボットの導入前に、まず目的を明確にしておくことが重要です。AIチャットボットを導入しても自社の課題すべてを解決できるわけではありません。成果を出すには「何を実現したいのか」、ゴールを明確にしたうえでの運用が不可欠です。
例えば「社内問い合わせ業務の効率化」が導入目的の場合、問い合わせ対応工数の削減がゴールになります。また、「商談化数の増加」が目的であれば、AIチャットボット経由のCV数(問い合わせや資料請求)などが成果測定指標となるでしょう。目的を明確にすることで、「運用→成果測定→改善」というサイクルを回せます。
活用目的に合ったサービスを選ぶ
チャットボットは大きく分けると、対話型AI(AIチャットボット)、対話型AI(プラットフォーム)、FAQボット(シナリオ型チャットボット)の3種類があります。活用目的に合ったサービスを選ぶことで利便性や費用対効果を高めながら運用できるでしょう。
それぞれの特徴や、どのような用途に向くのかについて解説します。
対話型AI(AIチャットボット)
対話型AIは、ユーザーが人に話しかけるようにテキストや音声を入力すると、それに対する応答を受け取れるチャットボットです。技術的な観点で説明すれば、自然言語理解(NLU)を中核機能とするAIチャットボットといえるでしょう。
対話型AIは、Web接客(店員が行うような対応をオンライン上で行うこと)やセールスなどを目的にする場合に適しています。問い合わせ内容が複雑で、文脈やニュアンスを把握しなければならないケースが多い場合は、柔軟に対応できる対話型AIが良いでしょう。
一方、リリースまでの労力と時間がかかりやすい点に注意が必要です。しかし、サービスによっては学習済みAIを搭載しているため、上手く運用すれば学習期間の短縮が期待できます。また、GoogleやMicrosoftが開発した主要な自然言語理解(NLU)と結合して、より自然な対話を実現できるサービスも提供されています。
対話型AI(プラットフォーム)
対話型AI(プラットフォーム)とは、1つの質問に対して1つの回答を返すだけではなく、さまざまなワークフローやプロセスをつないで問題を解決できるシステムです。つまり対話型AIは、チャネル(Webチャットやチャットツール、音声通話など)と外部システム(営業支援、顧客管理システムやMicrosoft365など)をつなぐコンシェルジュ的な役割を担います。
対話型AI(プラットフォーム)は業務システムと連携させた手続きや注文、決済などを自動化したい場合に最適なツールです。例えば「会議室を予約したい」と問いかけると、対話型AIは「日付と時間を教えてください」などと応答します。ユーザーが日付と時間を入力すれば、対話型AIはMicrosoft365などの会議室予約管理システムと連携して予約を完了します。
シナリオ型チャットボット
事前に登録されたデータからキーワードに合った回答を表示する、AI非搭載のチャットボットです。
シナリオ型チャットボットは、社内FAQやWebサイトの利用方法の案内など簡単な問い合わせ対応に適しています。これらは質問内容とフローが予測しやすいため、人の手でFAQとフローを構築すれば適切な回答を返せるからです。例えば、「月末の請求書を発行したい」という内容に、「請求書の詳細はhttps://○○○をご覧ください」と返すなど、シンプルな応答ができます。
しかし、シナリオ型チャットボットは顧客の意図を理解できないため、複雑な応答はできません。回答パターンを増やしたり、分岐を複雑にしたりしても精度が高まるわけでないため、運用担当者の負担が増大してしまう可能性があります。
AIチャットボットプラットフォームを選ぶ際のポイント
AIチャットボットを一から構築したり、他のアプリケーションとの連携部分を開発したりするのは、手間と費用がかかります。また、高度なプログラミング技術を持つ人材も必要です。短期間で実運用をスタートするには、対話型AI(プラットフォーム)の導入がおすすめです。ここでは対話型AI(プラットフォーム)を選ぶ際の6つのポイントを解説します。
チャネル連携は可能か
自社が接点を持ちたいチャネルと接続できるかチェックしましょう。具体的なチャネルとしては、Web、電話、LINE、Slack、Teamsなどが挙げられます。運用後に活用シーンを広げたくなるケースが多いため、追加開発が発生しないように多くのチャネルに対応していると安心です。
チャネルを増やすことで、ビジネスに大きなインパクトをもたらします。例えばECサイトであれば、Webサイト、LINE、VR空間など、あらゆる接点でAIチャットボットによる均一化された顧客体験を提供できるようになるでしょう。
同様に業務効率化を目的にした活用においても利便性を向上できます。例えば社内業務やテレワークなどの働き方やパソコンやスマートフォン、電話などのデバイスによらず、最適な方法でAIチャットボットにアクセスできるようになります。
外部システム連携ができるか
RPA(デスク業務を自動化するソフトウェアロボット)やSalesforce(顧客管理、営業管理システム)、Hubspot(インバウンドマーケティング向けソフトウェア)など、さまざまな外部システムと連携できるかどうかも重要な検討項目です。外部システムと連携できれば、さまざまなワークフローやプロセスを横断して問題を解決できるようになります。
例えば電話一本でSalesforce CRMにアクセスして顧客情報を照会するといった、高度な使い方が可能になるでしょう。連携用のコネクタが開発済みであるため、開発コストをかけずに簡単に連携可能です。
また、独自のシステムを連携させたい場合や処理をカスタマイズしたい場合は、API(ソフトウェア同士を連携させるために用意されたソフトウェア資源)で開発ができるかどうかがチェックポイントになります。
多言語機能があるか
グローバル化が進んでいる現在、観光業界や医療、飲食店や小売店など、幅広い業界において多言語対応が必要となっています。また、外国人を雇用している企業では、社内問い合わせ対応の多言語化も強化する必要があるでしょう。
このような場合に多言語対応のAIチャットボットがあれば、顧客対応を低コストかつ短期間でグローバルに展開できます。また、外国人労働者の問い合わせに対応するための語学スキルを持つスタッフの雇用や翻訳サービスなどの追加が不要です。
導入の際は、英語、中国語、ポルトガル語など、自社に必要な言語に対応しているかどうかを確認しておきましょう。また、近年進化が著しいDeepL、Google翻訳、Microsoft Translatorなどの翻訳サービスと連携できると精度が高く、自然な応答を実現するのに役立ちます。
無料トライアルが活用できるか
導入失敗のリスクを減らすには、無料トライアルを利用するのが効果的です。実際に操作してみなければ、「必要な機能がそろっているか」「使い勝手がよいか」などは十分わからないものです。現場の従業員を対象にテスト運用してフィードバックをもらえば、想定外の問題が起こりにくくなるでしょう。
ユーザー数やボット数が無制限な無料トライアルがあるサービスを選ぶと安心です。可能な限り実際の運用方法に近い形でテストすれば、ツール選びの失敗が減らせます。特に高性能なAIチャットボットの導入にはそれなりの費用が必要になるため、慎重に選定しましょう。
サポート体制は充実しているか
導入や運用のサポート体制についてもしっかりと確認しておきましょう。特に専門知識のある社内エンジニアの手を借りずにAIチャットボットを構築したい場合は、打合せやメールですぐに質問できる窓口があると安心できます。
また、QA作成サポートがあるかどうかも重要なポイントです。規約やマニュアルなどテキストデータを業者に提出するだけで膨大なQAリストを作成できるサービスもあります。上手く活用することで自社の労力をかけずに、はじめから精度の高い状態で運用スタートできるでしょう。
データの確認・改善ができるか
運用データを確認し、改善できる機能があるかどうかも重要です。AIチャットボットは人と同じように学習を続けて成長させられるツールです。蓄積されたログを元に、「ユーザーはどんな質問をしているのか(会話ログ)」「解決率が低いキーワードは何か」などを分析して改善できれば、さらに便利なAIチャットボットに育成できるでしょう。
一部のサービスには、設定、登録の変更後、内蔵ログを使って自動回帰テストを実行する機能が搭載されています。これによってパフォーマンス向上を確認してからアップデート版をリリースできます。
専門的な知識を持たない担当者がAIチャットボットを構築する場合、ローコード開発に対応している必要があります。ローコード開発とは、可能な限りプログラムコードを書かずに、画面操作によってQA作成やAIチューニング、外部システム連携などができる手法です。
AIチャットボット企業の導入事例
ここまでAIチャットボットの活用目的やメリット、運用方法などを解説してきました。ここからは、導入イメージをさらに具体的にするために、対話型AI(プラットフォーム)「Cognigy」を用いた企業事例を4つ解説します。
社内業務の効率化に成功した事例
システム構築やデータ通信を行う株式会社NTTデータ様のソリューション事業本部、ネットワークソリューション事業部では、部署のポータルサイトでの社内問い合わせの負荷を軽減して、業務を効率化したい課題を抱えていました。
手始めに実施したのが、事務用品の在庫管理のAIチャットボット構築です。対話型AI(プラットフォーム)「Cognigy」のローコード開発によって、エンジニアではないご担当者様が短期間でシステムを構築できたのです。
社内リリース後は問い合わせ対応の負荷が軽減できたうえ、対応がスピーディーになりました。成功の要因は丁寧なサポートと、CognigyのGUIが非常にわかりやすかったことです。その後、顧客対応用のAIチャットボットも実働1〜2カ月でリリースするなど、業務代替をさらに推進しています。
株式会社 NTTデータ – 業務効率化のためのチャットボットリリースで社内に波及効果
顧客サービスの向上に成功した事例
熊本市の公式観光サイト「熊本市観光ガイド-こころに来るね、くまもと-KUMAMOTO TO HEART」では、観光提案を効率的に案内するために、Cognigyによる多言語対応AIチャットボットを導入しました。
リリースした観光案内用AIチャットボットは、日本語はもちろん、英語、韓国語、中国語(簡体字、繫体字)、タイ語、フランス語、ドイツ語にも対応しています。これだけの言語に対応するには、多額の人件費を投じる必要があるでしょう。しかし、熊本市では多言語対応のAIチャットボットによって、観光地案内やグルメ案内、緊急情報案内、地図表示などのニーズに対応できています。
来店予約の自動化に活用した事例
「お仏壇のはせがわ」で知られる株式会社はせがわ様では、受付業務や予約受付業務を24時間365日対応にしたい課題がありました。またコロナ禍が続くなか、非接触、非対面の営業によって事業を継続することも当時喫緊の課題でした。
Cognigyで構築したAIチャットボットの主要機能は以下のとおりです。
● ECショップ、お墓相談窓口への問い合わせ機能
● 店舗予約機能
● カレンダー機能
● メール連絡機能
● リマインダー機能
このように基本的なオペレーションをほぼ網羅しています。また、供養のかたちをご相談したい場合に無機質なWebサービスやFAQボットでの対応であれば、顧客体験に課題が出てしまうかもしれません。しかし、自然な会話形式で応対できるAIチャットボットを運用をすることで、顧客体験を向上しながらDX推進の実現に成功しています。
未来志向の技術で顧客を管理できた事例
ルフトハンザ・ドイツ航空様は、ドイツ最大の航空会社ルフトハンザ・グループの企業です。同社はコロナ禍によって刻々変わる規制や運行と、それによる顧客対応の急増に対応しなければなりませんでした。
この際、ルフトハンザ・ドイツ航空様が目指したのは、現状のコストや人員を増やすことなく、膨大な数の問い合わせやキャンセルなどに対処することでした。そのために選んだのはWebチャット、LINE、音声通話などの20を超えるチャネルでAIチャットボットを作成できる、Congniyのプラットフォームです。
複数チャネルを一元的に管理できるCongniyによって、エンジニアは短期間でサービスをリリースできました。また、一貫したカスタマーサポートを提供することで顧客から信頼を得られました。現在、同社のAIチャットボットは、1日に1万人の顧客と年間100万回以上の会話を行っており、顧客体験を向上させています。
企業が抱える問題をAIチャットボット導入で解決
人に話しかけるようなテキストや音声に対して、リアルタイムで自動的に会話できるAIチャットボットの活用は業種を問わず広がっています。AIチャットボットを導入すれば、問い合わせの削減、人件費の削減、24時間365日対応など、多くのメリットをもたらすでしょう。
短期間で拡張性の高いAIチャットボットを構築するなら、対話型AI(プラットフォーム)「Cognigy」をおすすめします。
Cognigyはチャネル連携、外部システム連携が容易で、画面操作を中心にしたローコード開発が可能です。また、QA作成代行や充実したサポート体制があり、ユーザー数・ボット数無制限の無料トライアルも利用できます。AIチャットボットの導入をお考えの方はぜひご検討ください。