チャットボット導入のメリット・デメリットを解説!参考になる企業の事例も紹介
社内ヘルプデスク・社外からの問い合わせ対応や、接客ツールとしてチャットボットを導入する企業が増えています。
企業が積極的に導入する背景にあるのは、人間の業務をチャットボットに置き換えることでコストカットや業務効率化を図れるといったメリットが得られることです。また、ユーザーがすぐに疑問を解決できることも得られるメリットの一つです。多くの課題を解決できるチャットボットは、今後ますますビジネスシーンで利用されていくでしょう。
この記事では、チャットボットの概要や種類、メリット・デメリット、チャットボットを導入する際の注意点、効果を高めるポイント、企業の成功事例を紹介します。自社施策の参考にしてください。
チャットボットとは
Webサイトを閲覧しているとLINEのような画面がポップアップされたり、荷物の再配送依頼をLINEで行ったりすることがありますが、これらはチャットボットの一種です。
企業活動にチャットボットを活用するためにも、まずはチャットボットの概要やAIとの違いを確認しましょう。そこでチャットボットの意味や活用例、AIとの違いについて解説します。
チャットボットの意味と活用例
チャットボットとは、テキストや音声を通じて、人間とリアルタイムで会話できるコミュニケーションツールです。チャットボットは「chat(チャット=会話)+bot(ボット=ロボット)」を組み合わせた造語です。
チャットボットは主に社内外の問い合わせ対応業務に活用されています。人の業務をチャットボットに代替させて負担を減らすことができるため、時間や費用のコストの削減が可能です。また、チャットボットに24時間365日応対させることで、顧客満足度の向上も期待できます。
なお、チャットボットの具体的な活用シーンとして以下が挙げられます。
● カスタマーセンターの問い合わせ対応チャットボット
● 社内ヘルプデスクの問い合わせ対応チャットボット
● ECサイトの接客用チャットボット
● 自治体の多言語対応の観光案内チャットボット
チャットボットとAIの違い
チャットボットとAIはしばしば同じものとして語られますが、両者は別物です。AIとは人間の知的活動をコンピューターで実現する技術の総称です。チャットボット以外にも車の自動運転、天気予報、自動翻訳、将棋のソフトウェアなど、さまざまな用途があります。
また、チャットボットにAIが搭載されているとは限りません。チャットボットにはAI型(FAQ)チャットボットとシナリオ(ルールベース)型チャットボットがあります。このうちシナリオ型チャットボットはAIを搭載していません。
チャットボットの主な種類は2つ
チャットボットの種類はAI型チャットボットとシナリオ(ルールベース)型チャットボットの2つです。両者の特徴を知ることで、自社に導入するべきチャットボットがわかるようになります。
AI型チャットボット
AI型チャットボットとは、人間と会話するような自然なコミュニケーションを実現できるチャットボットです。例えば「会社の所在地を教えてください」のように自由形式のテキストで質問すると、チャットボットが返答します。また、質問内容を絞り込むために選択肢を表示する場合もあります。
自然な会話を実現できるのは、チャットボットがNLP(自然言語処理)やNLU(自然言語理解)を搭載しているからです。NLPとは人間の話し言葉や書き言葉を処理できる技術で、NLUとはテキストや音声の構文・意味を解析して全体の意図を判断する技術です。
これらのAI技術によって、表現揺れや口語表現などにも柔軟に対応できます。例えば「おすすめのメニューは何?」のような質問にも答えられます。ただし、実用的なAIにするには、膨大なサンプルデータで機械学習させて、回答精度を上げていくことが必要です。
シナリオ(ルールベース)型チャットボット
シナリオ型チャットボットとは、画面の選択肢からユーザーに問い合わせ内容を選んでもらうチャットボットです。ルールベース型チャットボットとも呼ばれます。
例えば、ECサイトのシナリオ型チャットボットは、問い合わせをした際に以下のような画面を表示します。
仮にユーザーが「配送料について」を選んだ場合は、配送料についての情報を回答します。また、回答が絞り込めない場合は、再び選択肢を表示してユーザーに選んでもらう仕組みです。
シナリオ型チャットボットはフローチャートで実現されています。したがって、質問と答えのセット、および分岐シナリオの登録が必要です。事前に登録されていない質問には答えられず、AI型チャットボットと異なり自由形式の質問にも対応できません。
チャットボットを導入するメリット
ここでは、チャットボットを導入する企業側の視点でメリットを解決します。チャットボットはコスト削減、顧客満足度の向上など、さまざまな面で効果を期待できるツールです。自社のチャットボット活用シーンをイメージする参考にしてください。
問い合わせによる人的コストを抑えられる
人間の業務をチャットボットに置き換えることでコストカットが図れます。チャットボットがよくある質問や簡単な質問に対応すれば、その分、従業員は他の仕事ができます。結果として、残業時間や人員の削減につなげられるでしょう。
また、生産性の向上も期待できます。例えば情報システム担当者の場合、社員からの定型的な問い合わせに対応する代わりに、セキュリティー対策やシステム更新など本来の業務に集中できるでしょう。これによって人材の費用対効果を高められます。
「チャットボットでコスト削減できてもサービス品質が下がるのではないか」と不安を抱えるケースも少なくありません。その場合は、有人切り替え可能なチャットボットを導入することで、複雑な質問や特殊な内容に対応できるようになります。
顧客満足度の向上が期待できる
チャットボット導入によって、「すぐに疑問を解決したい」「人に聞きにくい些細なことを質問したい」などのユーザーニーズを満たせます。この結果、顧客満足度の向上が期待できます。
チャットボットなら営業時間外も含めて24時間365日対応可能です。また、メールや問い合わせフォームと異なり即座に返答できます。コールセンターが混雑していて電話がつながらないようなこともありません。待ち呼(あふれ呼)や放棄呼による顧客満足度の低下を改善するためにチャットボットを導入するケースが増えています。
LINEアプリの感覚で気軽に質問できるのもチャットボットのメリットです。問い合わせに対する心理的なハードルが下がるため、些細なことでも気軽に質問できます。
CVRの改善によるマーケティング施策に役立てられる
チャットボットによってCVR改善も図れます。CVR(Conversion Rate)とは、Web訪問者のうちで商品購入や資料請求などの成果(コンバージョン)に至ったユーザーの割合です。
CVRが向上するのは、チャットボットがユーザーの疑問をその場で解決して離脱を防ぐためです。例えば、Webサイト訪問後、しばらくアクションがない場合にチャットボットをポップアップして、よくある質問を表示します。こうした施策で離脱を防げれば、ユーザーの取りこぼしを回避し、商品購入やサービス申し込みなどのコンバージョンにつなげやすくなるでしょう。
近年では、柔軟な会話ができるAI型チャットボットを接客ツールとして導入する事例も増えています。例えばアパレル業のECサイトでは、「このアイテムを使ったおすすめのコーディネートを教えてください」などの質問に答えられるチャットボットが導入されています。
顧客データの分析に活用できる
チャットボットに蓄積された会話データは、顧客分析にも応用できます。既存顧客や見込み客からの問い合わせ内容は、貴重な顧客の声であるからです。顧客の要望や悩み、行動パターンなどを抽出して、商品・サービス開発に活用できます。
さらに、チャットボットに対してユーザーが気軽に質問できるため、データを集めやすい利点があります。企業が気付いていなかった課題や問題点を早期にみつけられるためサービスの改善につなげられます。
また、チャットボットは自動的にデータを蓄積するため、会話内容を記録する手間がかかりません。
テレワークの促進につなげられる
チャットボットは、テレワークによって増大しがちなヘルプデスク業務を減らせます。特に定型的な問い合わせに対して効果を発揮するでしょう。
テレワークでは周囲の人に質問しにくいため、簡単な質問でもヘルプデスクに頼ってしまいがちです。例えば情報システム部に対しては、パソコンやツールの使い方や不具合の問い合わせが増える傾向にあります。また、総務部に対しては、出張精算や備品購入などの問い合わせが増大しがちです。
ヘルプデスクが混雑して疑問が解決できないと、業務が滞ってしまいます。また、従業員満足度が下がる場合もあるでしょう。こうした事態を避けるために、チャットボットが効果的です。
チャットボットを導入する際の注意点
多くのメリットがあるチャットボットですが、導入にあたって注意すべき点もあります。AI型・シナリオ型チャットボットに共通する注意点として、導入コストと期間がかかること、回答できない質問もあることについて解説します。
導入までに時間や手間がかかる
チャットボットを導入し、運用を開始するまでには時間と手間がかかります。AI型、シナリオ型のどちらのチャットボットでも、ユーザーの質問を網羅したQAリストを作成しなければなりません。また、会話のシナリオも設定する必要があります。
特にシナリオ型チャットボットは手入力となるため、手間がかかります。一般的にはFAQサイトに記述する程度の簡単な内容とボリューム以上になるでしょう。
AI型チャットボットも学習用データが必要です。また、チューニングのためのプログラミングも必要です。エンジニア以外が担当する場合は、GUIベースでローコードの開発が可能なツールを選ぶと良いでしょう。
回答できない質問もある
チャットボットは全ての質問に回答できるわけではなく、QAリストに登録されていない情報には回答できません。また、複雑であいまいな質問や、複数の質問が混じった長文などに適切に回答するのも不可能です。
こうした不完全さもAI型チャットボットを導入する際に確認しておく必要があります。ただし、チャットボットの回答範囲を広げることは可能です。回答が間違っていた場合や返答できなかった場合は、QAリストの追加登録やチューニングによって精度を改善できます。
チャットボットを活用するための4つのポイント
ここでは、チャットボットの活用効果を高めるためのポイントを、以下の4つに分けて解説します。
1. 自社の課題を把握しチャットボット導入の目的を明確にする
2. チャットボット運用の体制を整える
3. チャットボットで得られた効果を検証する
4. 有人対応できる体制も整える
1.自社の課題を把握しチャットボット導入の目的を明確にする
はじめにチャットボットの導入目的を明確にしておきましょう。「社内ヘルプデスクの負荷軽減」「接客チャットボットによる顧客満足度向上」など、具体的な目的を決めておきます。目的を明確にできれば、チャットボットの種類と機能を選定しやすくなるでしょう。
例えば、社内ヘルプデスクの定形的な問い合わせをチャットボットに任せたいなら、シナリオ型が適しています。一方、扱う情報が多い場合や、接客ツールとして柔軟に対応させたい場合はAI型が向いています。
また、LINEやSlack、Teamsなどとチャットボットを連携したいなら、開発なしで接続できる機能があったほうが便利です。多言語に対応するなら、自動翻訳機能があると良いでしょう。
このように、目的によって最適なチャットボットは変わります。自社に合ったチャットボットがわからない場合は、チャットボット提供業者に相談することをおすすめします。
2.チャットボット運用の体制を整える
チャットボットは製品を購入して終わりではなく、導入後のメンテナンスが必要です。例えばQAリストの追加登録や定期的なチューニングなどはチャットボットの精度向上に欠かせません。また、社員や顧客にチャットボットの使い方を教える人や、使い勝手をヒアリングする人も必要です。運用のために十分な体制を整えることが大切です。
運用体制が整っていないと、精度を向上できず、実用レベルにならない場合があります。また、社員や顧客へのサポートが手薄になって利用者が増えず、チャットボットが定着しない恐れもあります。
運用担当者に求められるITリテラシーも考慮しておきましょう。高度なプログラミングが必要なチャットボットなら、専門知識を持ったチームが必要です。逆にローコード開発が可能なチャットボットなら、非エンジニアでも対応できるでしょう。
3.チャットボットで得られた効果を検証する
チャットボットの利便性を高めていくには、継続的に改善サイクルを回す必要があります。改善に役立つのが、チャットボットに蓄積されたデータです。
多くのチャットボットは、効果測定用のデータを自動的に記録できます。代表的な指標は次のとおりです。
● 回答率:ユーザーの質問に回答できた割合
● 解決率:ユーザーが疑問を解決できた割合
● チャットボット経由のCVR:商品購入や申し込みフォームへの誘導などにつながった割合
回答率が低い場合はQAリストの追加登録が必要です。解決率は「この回答は役立ちましたか?(はい・いいえ)」などの質問をして計測します。解決率が悪い場合は、分岐シナリオの見直しやチューニングが必要です。
チャットボット経由のCVRは、自社サイトに計測用タグを設置すると計測できます。CVRはECサイトの接客チャットボットなど、コンバージョン目的の施策で重要です。
4.有人対応できる体制も整える
チャットボットは全ての質問に回答できないため、有人対応できる体制も整えておくのがベターです。一部のチャットボットは「オペレーターを呼ぶ」などのボタンを設置でき、ワンタッチで有人対応に切り替えられます。また、ユーザーが疑問を解決できないときに、オペレーターが引き継いで有人チャットに切り替えられるタイプもあります。
有人対応によってユーザーのストレスを減らせれば、顧客満足度が向上します。有人対応を特に導入したほうが良いケースは、緊急性が高い質問や複雑な質問を受ける可能性が高い場合です。
チャットボットのメリットを活用した成功事例
チャットボットの活用をより具体的にイメージできるように、企業の成功事例を紹介します。各事例に共通しているのは、非エンジニアでも簡単にローコードでAIチャットボットを構築できる対話型AIチャットボット「Cognigy」を利用して、高機能AIチャットボットを短期間で導入した点です。
来店予約の自動化に成功した事例
株式会社はせがわ様は「お仏壇のはせがわ」で知られるお仏壇・お仏具メーカーで、全国に直販店を経営しています。同社がチャットボットを導入した直接的なきっかけはコロナ禍です。非接触・非対面のオンラインで、受付業務や予約受付業務を自動化したいという課題を持っていました。
そこで同社は「Cognigy」を活用してAIチャットボットを作成します。主な機能は次の5つです。
● 仏壇・仏具のオンラインショップおよびお墓相談へのお問い合わせ機能
● 店舗予約機能
● カレンダー連携
● メール連絡機能
● リマインダー機能
このAIチャットボットによって、コロナ禍をきっかけとしたパラダイムシフトに迅速に対応できました。また、今まで築いてきた人とサービス、人とモノのつながりを失うことなく、業務を効率化したことで顧客満足度の向上につなげられました。
来店予約や購入促進に効果を得られた事例
株式会社スマートウィル様はCRMコンサルティング、CRMデジタルソリューション提供を営んでいます。主なクライアントはハイブランドのアパレル企業をはじめとしたグローバルブランド企業です。
同社がクライアントに求められた課題は、コロナ禍による来店率低下を打開することでした。また、オンライン接客から購買までをシームレスにつなぐ次世代型サービスと、CMRと連動したコミュニケーションツールの提供も課題でした。
そこで選んだ開発ツールがCognigyです。Cognigyを選んだ理由は、「短期間で拡張性の高いAIチャットボットを開発できる」「多言語対応している」「外部連携機能が豊富」などです。
開発した「AICO(アイコ)」は現在、複数のクライアントで運用されており、来店予約数を増やしています。また、実店舗と同じように「接客→商品購入→決済」の流れがバーチャルで完結可能です。さらに、CRMの連携によって1to1コミュニケーションや、収集した情報の自動データベース化も実現しています。
社内対応の業務効率化に成功した事例
データ通信、システム構築事業などを行う株式会社NTTデータ様では、社内問い合わせ対応業務の負荷をチャットボット活用で減らしたい課題を抱えていました。とにかく簡単に開発できるプラットフォームの導入が必須だったといいます。
導入したCognigyはGUIが充実しており、「見た目どおり作っていけば、チャットボットが構築できた」といいます。はじめに構築したのは、テレワークによって増えた事務用品の問い合わせに対応するチャットボットです。
在庫確認や補充を自己解決してもらえるようになったことで、出社時に対応に追われていた問い合わせが大幅に減りました。全社員の利便性を向上しながら、業務負荷を減らしたのです。
この社内向けチャットボットが好評だったことから、顧客向けのチャットボットもリリースしました。このチャットボットの開発期間も、実働1〜2カ月の短期間で済んだということです。
多言語対応のAIチャットボットの導入に成功した事例
熊本県熊本市様は、観光地やグルメ、イベント、特産品などの魅力を国内外から訪れる観光客にアピールしたいと考えていました。そこで、公式観光サイト「熊本市観光ガイド-こころに来るね、くまもと-KUMAMOTO TO HEART」に、Cognigyで開発した多言語対応AIチャットボットを導入しました。
Cognigyは日本語、英語、中国語など全20カ国の主要言語に対応しており、自動翻訳機能によって多言語展開をスムーズに行えます。
同市が実装したのは、日本語、英語、韓国語、中国語、タイ語、フランス語、ドイツ語の7カ国語です。どの言語を使っても、チャットボットを介して観光案内や現在地取得、地図表示などができます。これによって、24時間365日オンライン上で観光案内ができる新たなサービスを構築できました。
予防接種の予約・事前問診取得の自動化に成功した事例
医療法人社団壮明会山﨑内科医院様は、内科全般の幅広い患者が来院する総合内科医院です。同医院は業務効率化のためにコロナワクチン接種予約ボットを開発しました。
Cognigyによって実装した主な機能は次の5つです。
● コロナワクチン接種条件判断機能
● 問診取得機能
● カレンダー連携機能
● 予約状況確認機能
● リマインダー機能(予約日が近づいたときに利用者に自動通知する機能)
チャットボットによって、ユーザーは会話形式でスムーズに予約したり、予約状況を確認したりできます。また、同医院のスタッフの負担も軽減できました。今後は活用範囲を広げて、継続診療予約や感染症外来問診入力受付、初診療予約に対応していく予定です。
チャットボットのメリットを生かした導入・運用ならCognigy
チャットボットは社内外の問い合わせ対応業務に利用されています。社内ヘルプデスクの負担を減らしたり、接客ツールとしてCVR向上を図ったりするなど、幅広い活用シーンが考えられます。チャットボットにはAI型とシナリオ型の2種類がありますが、柔軟で自然な会話に向いているのはAI型です。
短期間で拡張性の高いAIチャットボットを開発するなら「Cognigy」をご検討ください。Cognigyには以下のような特徴があります。
● 非エンジニアでも画面のクリック&ドラッグで簡単開発が可能
● LINEやSlack、Teamなど多くのチャネルと開発なしで連携できる
● 開発・運用・成果測定が1つのプラットフォームで完結
● 20カ国語以上の多言語対応
● 活用サポート支援を回数無制限で受けられる
Cognigyは無料トライアルも可能ですので、まずはご連絡ください。